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うずめはエントリーという名の契約をし、それで自動的に五人のファンタジスタドールのマスターとなった。
けれどもヨモギちゃんのドールは黒髪ツインテの彼女、銀髪ツインテの彼女、それと後、今はカードになってあの恐竜に呑み込まれちゃってるピンクのツインテの彼女の三人だけらしい。
ドールは五人と決まっているわけではない。
そしてなにより…
この三人のヨモギちゃんのドールは、やはりヨモギちゃんの夢を叶えるために存在しているのだろう。
三人の一人が編集者、一人が作画のアシスタント、そして、もう一人が思いついたアイディアだったりストーリーだったりの相談役だと言っていた。
側にいるドール達の役割が、ずいぶんはっきりしているもんだな、と、うずめは思った。
だとしたら、自分のドール達と自分の関係はどうなんだろう。
ささらは、小明は、マドレーヌは、カティアは、しめじは、うずめの夢の実現のためにやってきた。それはわかっている。
で、ドール達みんなはそれぞれどんな役割を果たしてくれるんだろう?
大きなシュウマイのバルーンの上で、うずめは風に吹かれながら、そんなすぐにその答えなんて出ることはないのがわかってはいるし、今はそれどころじゃないこともわかってはいたが、ついついそんなことをふっと考えた。
うずめのドール達。
ささら、小明、マドレーヌ、カティア、そして、しめじ。
一人一人の個性はなんとなくわかってきた。でも、それでその五人が集まって、一つの目標…うずめの夢の実現へと向かって行っているのだろうか?
どう考えても、みんながみんなバラバラで好き勝手やっているようにしか思えないのは、うずめの気のせいだろうか?
こんなにとっ散らかってて、本当に良いんだろうか?
ちょっと不安になったりもする。
でも、と、うずめは思う。
うずめのそもそもの夢ってのは「誰かと…なんかうわーっとなったりしたい」というしごく曖昧なものであったのだ。
そんな夢のことをあれこれ考えていた時に、ささらが現れた。
「エントリーしますか?」
YES。
そして現れたドール達が、うずめのことを「マスター」と呼んでくれて、今、こうしてうずめの側に…このシュウマイの回りに四人、下を走る恐竜の頭の隣に一人居るのではないだろうか…
さらにそんな、うずめの隣にはさっき知り合った同じ年の漫画家でカードマスターでもあるヨモギちゃんが居る。彼女のドールも二人と一枚。
そうだ。
よくよく考えてみたら、このシュウマイの上にうずめが「誰か…」と思っていた仲間が自分の周りに…こんなに大勢、居るわけではないか。
これからどこに向かっていくのか? それは先を行く大学生達の車とティラノサウロスまかせだけれど、それでもみんな、今この瞬間だけは複数の誰かと一緒に「わーっ」となっているのは確かなことだ。
うずめの夢…
まだまだそれはきっと途中っていうか、始まったばかりっかもしれないけど。
とりあえずは、なんとなく形になってきているではないか…