ファンタジスタドール

Special

◆PV ◆ラジオ ◆インタビュー ◆ノベル ◆サウンドドラマ ◆キャラクターボイス ◆レポート

アニメ「ファンタジスタドール」脚本家の1人である、じんのひろあき氏による、
ウェブ限定のオリジナルストーリーノベル!毎週更新中!

ファンタジスタドール
お砂糖とスパイスと何か素敵なもので女の子はできている

著:じんのひろあき イラスト:Anmi 
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回

うずめとしめじが部屋の前に戻ってみると、なんだか良い香りがしてくるではないか。
ドアの向こう、部屋の中から、ささらの声がする「ん〜、やっぱり、良い香りは疲れをとってくれるよね」
ドール達は、電気ポットでお湯を沸かして、みんなでハーブティを飲んでいた。
アップルティの素敵な香りが、うずめの部屋に充満している。
「あ、帰ってきた、帰ってきた」カティアが、うずめとしめじが座る場所を空けてくれる。
「お待ちしてましたよ、二人を」と、マドレーヌ。
「待ってたって、なにを?」うずめが聞く。
気がつくとみんななんとなく車座になっていて、うずめとしめじがその輪に加わると、ささらが改めて正座して宣言した。
「これから恐竜のグオをいかに確保するか、という緊急作戦会議を行います」
「よろしくお願いします」と、カティア、マドレーヌ、そして、小明が声を揃える。
慌てて、うずめとしめじも頭を下げた「よ、よろしくお願いします」
ささらが話始めた「先ほどグオは地下鉄十八号線の工事現場の縦穴に落ち、そこで消息を絶ちました」
小明が言う「捕獲するチャンスがあるとしたら、もう一度姿を現した時」
ささらが「そうです」と頷いて「では、その時、地上に再び姿を現したグオを生け捕りにするにはどんな方法があると思いますか?」
「はい」と手を挙げたマドレーヌに「どうぞ」と指名。
「ネットで調べてみたのですが、大昔、氷河期の終わりに人間がマンモスを相手に槍などを使って戦ったのではないか? というイラストが数点見つかりましたが、これはまったく当てになりません」
ささらがそれを受けて言う「相手はマンモスじゃなくて、ティラノサウロスだしね」。
カティアが「だね」と頷き、マドレーヌが続ける「肉食恐竜のティラノサウロスを捕獲する実践的な方法というものは、この広大である、と言われているネットのどこにも書かれてはいないのです」
「それはだから…」小明が慎重に言葉を選びながら発言する「人類初の恐竜狩り、ってことだから…」
カティアがまたしても「だね」と、それに同意する。
マドレーヌがさらに続ける「まだ誰もやったことがないことを、今、マスターうずめと私達ドール五人、そして同じくマスターであるヨモギさんと彼女の二人のドール達でなしとげなければならない、ということです」
ささらが発言する「で、具体的にどうすれば?」
カティアが元気よく手を挙げて言った「はい! はい! はい! はい!」
ささらが「はい! は一つでいいです、はい、カティア」
「はい」と返事してカティアは立ち上がって言った「みんなそれぞれ特大のヨーヨーで、グオの手、足、尻尾などに絡ませて、引き留める、というのはどーでしょーか」
小明が間髪入れずに突っ込む「でも、そんなことしたって私達の力よりも恐竜の力の方が断然力が強いわけだから、ずるずるずるずる、どこまでも引きずられていってしまうだけでしょう」
「そうだ、そうだ」「だよね、そんなの」と、誰が何を言ったかわからないくらいに、小さな声でみんなが不満の意を表明する。
「そこで、です」カティアはまだ話はこれからだとばかりに声を一段と大きくして自説を語る「それはそうです、もちろんそうです。でも、ずるずる引っ張られていってしまうのは私達だけでそれをやるから、じゃない?」
ささらが聞く「私達だけ、じゃないとすると…他に誰が?」
カティアがその問いが出るのを待っていましたとばかりに言う「みんなに手伝ってもらえばいいんです」
「みんなって誰です?」マドレーヌが聞いた。
「市民のみなさん、っていうか、そこらへんにいる人達です。協力を仰ぐんです」カティアは胸を張ってそう言い切る、そして「一人や二人じゃなくて、ヨーヨーのワイヤーをどんどん伸ばして、何百、何千という人々の力で、ティラノサウロスを引き留めるんです。一人一人が持っている小さな力を合わせる時がやってきたわけです」


1 2 3
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回

News >>
World >>
Staff & Cast >>
Goods >>
Special >>
Media mix >>

▲ Page Top

(C) 2013 ファンタジスタドールプロジェクト/FD製作委員会