ファンタジスタドール

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アニメ「ファンタジスタドール」脚本家の1人である、じんのひろあき氏による、
ウェブ限定のオリジナルストーリーノベル!毎週更新中!

ファンタジスタドール
お砂糖とスパイスと何か素敵なもので女の子はできている

著:じんのひろあき イラスト:Anmi 
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ささらが、さてこの自信満々のカティアになんと言ったらいいものか、と考えあぐねながらも「うん、うん、言わんとしていることはわかるよ、カティア、でも、なんか腑に落ちないのは私だけかな?」
「せっかく人類が初めて体験するティラノサウロス生け捕り作戦なんだから、一人でも多くのみんなに参加してもらった方が、捕まえた後の感動もより大きなモノになるはず」
ここで小明がこの作戦の重大な欠陥を指摘した「最後はそれでもいいかもしれないけど、最初からその大勢の人達がいるわけじゃないでしょう? だったら、ヨーヨーのワイヤーを引っかけた後、もしもティラノサウロスが猛ダッシュして駆け出したら、私達は…」
ささらが両手を広げて、体をくねらせて、その時に想定されるであろう、みんなして引きずられる様をやってみせる「あれぇぇ…って街中を引き回しの刑に合ってしまうわけでしょ?」
カティアが「そこは、ほら、なんとかうまくやって」と言うが、またしても小明が突っ込む「そのなんとかうまくってところが、一番ネックになると思う。どうせまだそこは考えていないんでしょ?」
カティアは「えへへ」と微笑んで、笑ってごまかそうとする。
ここでようやく、うずめがゆっくりと手を挙げて発言した「グオに大きな虫取り網みたいなものを上からかぶせて捕獲するってのはダメでしょうか?」
ささらの相づち「それ良いと思うよ、マスター!」
小明が冷静に「虫取り網をどうやって恐竜の頭上に運ぶ?」。
うずめもまた深く考えての発言ではない「えっと、どっか…例えばビルとビルの間の上に最初から用意しておいて」小明はさらに詳細を述べよと「じゃあ、そのビルの上に設置された虫取り網の下までどうやってグオをおびき出すの?」
カティアがまた勢いよく立ち上がり「はい! はい! はい!」
ささらが「はい! は! 一つ!」と、たしなめるがカティアはまったく気にする様子もなく発言する「その下まで、ヨーヨーのワイヤーでグオを引きずっていけば!」
小明もさすがに冷静さを失い「だから! そのワイヤーは誰が引っ張るの?」
マドレーヌが呆れながら言う「もしかしたら、市民のみなさんが何百、何千人と力を合わせたりするの?」
「ん…ダメかな」とカティアはまったく応えてないよう。
うずめが恐る恐る手を挙げた「間違ってるかもしれないけど」。
司会進行役の、ささらが「はい、マスター、間違っててもいいから、元気よく発言してください」と指名した。
「えっと、ですね」うずめはドール達みんなの顔を見渡して言った「引っ張ったりするよりも、グオをおびき寄せるような、そういう方法ってないんですかね」
小明が「ふうん」と感心し「逆転の発想ってわけだ」と腕を組んで考え込む。
自分の意見が認められて、うずめはちょっといい気になって先を続ける「例えば、グオの好物を目の前にぶら下げる、とか」
ささらも「なるほどね」とつぶやいて「馬面にニンジン作戦ってわけか」
「でも」とマドレーヌが「グオは機械仕掛けですよね。好物とかあるのかな」と素朴な疑問を提示した。
「そこなんだけどね」うずめだって、そこが問題なのはわかってはいた。
そしてそこで、この堂々巡りの会議はようやく先に一筋の光を見た。
「グオは、しめじの笑い声が好きなんだ。だったら、笑っているしめじでおびき出せばいいんじゃないかな?」
会心の一撃とも言えるマスターうずめの発言に、一同は「おおっ!」とどよめき、拍手が起きた。
ささらが「しめじ、ニンジン作戦だ!」と言った時、うずめの携帯が鳴った。
グオの生みの親、カソ研の大学生からだった。
「グオの居場所が特定できた!」と電話から興奮した声が聞こえた。

つづく。


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