ファンタジスタドール

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アニメ「ファンタジスタドール」脚本家の1人である、じんのひろあき氏による、
ウェブ限定のオリジナルストーリーノベル!毎週更新中!

ファンタジスタドール
お砂糖とスパイスと何か素敵なもので女の子はできている

著:じんのひろあき イラスト:Anmi 
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もうあと一押しすれば落ちてしまいそうなほどにゆらゆらしているバンに、グオがその頭をコツン! とぶつけた!
ガガガ!
「わあああ…」運転席の二人の女子大生と、後席に乗るノートパソコンをそれでも後生大事に抱えている男子大学生の悲鳴が聞こえたかと思うと、車はずりっ! と、ずれて地上へと落下していった。
うずめが広げた崩れることのない風呂敷のような豆腐の上へと、落ちて行ったのだった。
ガッシャーン! という衝撃音を覚悟していた、うずめ達の耳に、ボヨヨーン!という間の抜けた音が聞こえた。
見下ろすと、びよん、びよん! と、さらにまた間の抜けた音を立てながら、カソ研のバンはグオの頭突きによって、ドアや後はベコベコになってはいるものの落下の衝撃は、ほとんどないようだった。
ふい目の前から、あれほどグオとしてはすりすりしていた車の姿がなくなり、心配そうにティラノサウロスは遙か下の大地を覗き込む。
白いお豆腐のクッションの上で、ぼよんぼよんと跳ねているグオの目当ての恐竜のイラスト。
グルルルルルル…
思案しているグオの唸り声。
うずめ達のすぐ側にヨモギと彼女の二人のドール、黒髪と銀髪のツインテがやって来て言った。
「グオは追っかけるよ、まだまだ」
そう言われ、うずめはグオを見る。
「うずめちゃん、私に考えがあるの!」ヨモギはそう言いながら、自分が持っているカードを素早く繰り、目当てのカードを探しだそうとしている。
「あの屋上に飛ぶから!」ヨモギが見上げた隣に建っているのは五階建ての安売りショッピングセンター、サンチョパンサ!
うずめ達が今居るのは、この大型店舗の専用駐車場の二階。
「飛んで、どうするの?」うずめが聞いた。
「あれ!」とヨモギちゃんが指差したのは、サンチョパンサの屋上から上がっている巨大なアドバルーンだ。
それはまるでバースデーケーキが宙に浮かんでいるように見える。
バースディケーキに似たそれは…巨大なシュウマイ!
しかもエビシュウマイだ。
アドバルーンに下がっている垂れ幕に『わが街はシュウマイで笑顔あふれる!!』と書かれている。
「なに? あれは?」空に浮かぶシュウマイの存在が理解できずに、しばし、うずめの頭の中は空白になる。
ヨモギの「うずめちゃんが持ってる線香花火のカードを貸して!」鋭い声で現実に引き戻された。
「あ、あ、はい! 線香花火ね」うずめが自分が持つエフェクトカードを繰り、リクエストされた『線香花火』と書かれたカードをヨモギに差し出す。
ヨモギは右手で銀髪のドール、左手で黒髪のドールと手を繋ぐ。うずめから借りた『線香花火』のカードが発動し始め、三人の足下に光が渦巻き、閃光が四方へと散り始める。
ぱち! ぱち! ぱちぱち!
そう、それはまるで線香花火のように…
「行くよ、マスター」銀髪のドールがヨモギに言う。
「マスターは力を抜いてて、大丈夫、私達が引っ張り挙げるから」黒髪のドールがそう言って、ちょっと緊張しているヨモギに微笑んだ。
「うん」とヨモギは膝を曲げて体を沈めた。
銀髪のドールの「今!」という掛け声と共に、黒髪はヨモギの手を引き、上へ。
飛んだ。
線香花火が弾けるように。
隣のショッピングセンターの屋上へ。
軽々と跳躍し、高い柵をも跳び越えて、なんなく屋上遊園地の中へ。
「す、すごい!」と、うずめ。
だけど、あのシュウマイで…ヨモギちゃんはなにするつもり…なの?

つづく。


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