ファンタジスタドール

Special

◆PV ◆ラジオ ◆インタビュー ◆ノベル ◆サウンドドラマ ◆キャラクターボイス ◆レポート

アニメ「ファンタジスタドール」脚本家の1人である、じんのひろあき氏による、
ウェブ限定のオリジナルストーリーノベル!毎週更新中!

ファンタジスタドール
お砂糖とスパイスと何か素敵なもので女の子はできている

著:じんのひろあき イラスト:Anmi 
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回

立体駐車場。二階へのスロープを進んでいく、うずめ達の乗るカソ研のバン。
ハンドルを握るナナは不意に飛び出して来るかもしれない他の車に注意しながら最速の徐行運転。
バックミラーに目をやる度にこちらに向かって腰をかがめ、短い手が床につくほど頭を下げて、ゆっくりとティラノサウロスは近づいてくる。
車の後ろのウインドウからずっと迫り来るグオを見ていたこの恐竜の開発者らしい男子学生のコンタさんが、うずめ達の方を振り返ってなぜか得意そうに言った「グオの人工知能は臨機応変にどんな状況にも対応できるようにプログラムしてある。天井が低いなら低いで、腰をかがめ、長い尻尾でバランスをとりながら、進めるようになってる」
確かに!
ドスン! ドス! と、ティラノサウロスはこのバンをめがけてじゃれついてきたさっきの絶好調な走りではなく、ゆっくりと歩みの速度を緩め、頭を地面すれすれまで下げてバンの後を追いかけてくる。
大きな頭を地に這わせるかのごとく下げているぶん、長い尾を高く上げてワニやヘビの動きのようにバランスをとりながら体を蛇行させ、どんどんスロープを上がって来る。
駐車場の二階へ。
「このままだと追いつかれる!」ナナがアクセルを踏み込み車は加速したその直後、目の前に家族連れが乗る軽自動車が駐車スペースから、のっそーっと出て来た。
「危ね!」ブレーキを踏み込み、バンは急停車! ききっ!
「わああぁ!」車の後席に乗る、うずめ達が押しつぶされて悲鳴を上げる。
家族連れの軽自動車、運転席のお父さんが「すいません」とばかりに手を挙げてこちらに挨拶して笑顔まで向けてくれている。ハンドルを握るナナが「いいから早く、早く行ってってば!」と笑顔のままで不満たらたら。
車のエンジンはアイドリング、静かになったぶんティラノサウロスが背後からこちらに迫りくる音がやけに大きく聞こえてくる…
ドス!…ドス!…ドス!…
「追いつかれる」というヨモギの声と同時にバン! と、後ろから頭突きをくらった衝撃!
「わぁっ!」
後ろの荷台に居たコンタさんがノートパソコンを抱えて「ちょっとごめんねぇ」と、うずめ、ささら、小明、マドレーヌ、カティア、ヨモギ、黒髪ツインテ、銀髪ツインテがひしめく、ただでさえ狭い後席へと避難してくる。
カティアが押しつぶされながら言う「ぎゅうぎゅうのぎゅうぎゅうだぁ」
そして、衝撃が再び!
ガン!
「うわぁ」全員同時に悲鳴を上げる。
ガン! ガン!
「わ、うわっ!」グオの頭突きをくらってはいるが、車はブレーキを踏み込んでいるために、後輪が浮き上がっては地面に落ち、浮き上がっては地面に落ち、ということが繰り返される。
ガン! ガン! ガン!
「わっ!わあっ! うわあっ!」
ユキが言った「なんか、どんどん頭突きがうまくなってきているよ! 車のボディに響く衝撃が、パないよ!」
うずめ達女の子の間に避難しているコンタが言った「学習しているからね、驚くほどのスピードで」
「頭突き学習してどうするのよ」ナナが責める。
コンタの言い分はこうだ「学習することに理由はないよ、一つのことを極めるまで上達させる、それが第十二世代の人工知能の特性なんだから」
ユキは「なんでまた、そんな人工知能をハイスペックにしたんだ」今さらそんなこと言っててもしょうがねえなとぼやき、うずめ達に「気をつけて!後ろからガンガン頭突き食らわしてくるから、みんなムチ打ちになんないようにね、自分の体は自分で守ってね! 舌を噛むといけないから、返事はいりませーん」と言うのが精一杯だった。


1 2 3
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回

News >>
World >>
Staff & Cast >>
Goods >>
Special >>
Media mix >>

▲ Page Top

(C) 2013 ファンタジスタドールプロジェクト/FD製作委員会