ファンタジスタドール

Special

◆PV ◆ラジオ ◆インタビュー ◆ノベル ◆サウンドドラマ ◆キャラクターボイス ◆レポート

アニメ「ファンタジスタドール」脚本家の1人である、じんのひろあき氏による、
ウェブ限定のオリジナルストーリーノベル!毎週更新中!

ファンタジスタドール
お砂糖とスパイスと何か素敵なもので女の子はできている

著:じんのひろあき イラスト:Anmi 
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回

ズル…ズルズル…と壁面の土を擦り、人造皮膚の表面に幾つものかすり傷を作りながらもグオは下へ、下へと進む。
ズル、ズルズルズルズル…進もうとするティラノサウロス。
ティラノサウロスの尻尾に巻き付けられた最後のワイヤーがピン!と張り詰め、ギリギリ…と捻れたかと思うと、プツン! と切れた!
宙ぶらりんだった恐竜はさらに下へと落ちていく。
ドン! と、グオは着地した。
その腕の中、行く手の暗闇奥、さらに深く沈んでいく得体の知れない恐怖に、しめじはティラノサウロスの胸のあたりに手をやり、撫でて…すがるように掴もうとする。
と、その時、しめじの体にまず真横に光の筋が走った。
バチ!
すぐに、しめじの左の頬、右手の指先、左足の爪先に今度は短く太い光の帯!
バチ!
バチ!
バチ!バチ!バチ!…
その光の帯、しめじの輪郭にも浮かび上がり始める。
バチバチバチバチ!…
「あ、ああ…」
しめじの体、まとわりつくような光、光、光…
その光に包まれて、しめじは消えてながら、グオの顔を下から見上げている。
「有効範囲を越えてしまった…」しめじ達ファンタジスタドールはマスターである、うずめと離れ過ぎてしまうと、自動的にカードへと戻ってしまう。それを、グオに今説明してわかってくれるものか…
グオも光を発している腕の中のしめじを「?」なにが起きた、と見た。
消えていく…理由はわからないが、自分のうでの中からしめじが消えていく、ということだけは、恐竜にもわかったようだった。
グオの瞳が見開かれた。
機械の目ではあったが、それが驚いていることは、しめじにもわかった。
しめじはそのグオの瞳のことを忘れない、と思った。
今、この瞬間はきっと、自分の胸にいつまでも残る瞬間になるだろうと、感じた。
今現在が、この瞬間が、きっとかけがえのない思い出になるだろう、と。
それが今なのだ、と。
「グオ…ごめ…」言い終えるまえに、しめじの姿は目映く光った。


1 2 3 4
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回

News >>
World >>
Staff & Cast >>
Goods >>
Special >>
Media mix >>

▲ Page Top

(C) 2013 ファンタジスタドールプロジェクト/FD製作委員会