ファンタジスタドール

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アニメ「ファンタジスタドール」脚本家の1人である、じんのひろあき氏による、
ウェブ限定のオリジナルストーリーノベル!毎週更新中!

ファンタジスタドール
お砂糖とスパイスと何か素敵なもので女の子はできている

著:じんのひろあき イラスト:Anmi 
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隣の隣の市で週末に行われるコミフェス、だ。
それってどうなんだろう?
とりあえず、うずめは提案してみた。
たとえば、そういうのに一緒に行ってくれたりするものなのだろうか? と。
「コミフェスってなんですか?」マドレーヌが聞いた。
コミフェス、自分達が描いた漫画の即売を行うイベントのことだ。
真夏と年末に行われる最も有名なコミケってのがあるにはあるが、あまりにも有名すぎて、それはそれはとんでもないくらいの人が押し寄せてごった返す。
マンガ、アニメ好きの国民の祭典。
それがコミケ。
もちろん、そういうところに顔を出してはみたいと思うが、うずめ達のような街の普通の中高生がコミケ参りしたところで、もみくちゃにされるだけだろう。
どこに辿り着けばなにに巡り逢えるのかもよくわからない。
いや、辿り着く前に迷子になってしまう可能性の方が断然大きかったりするものだ。
コミケの会場の場内アナウンスで「お友達とはぐれた場合、ここで再会できる可能性はありません。一人で来たと思ってあきらめてください」というのがあると、うずめは聞いたことがある。
ならばというわけで隣の隣の街で、そんなマンガ、アニメ好きの同志達が集まって自分達で市の体育館を借りてミニミニコミケを運営するに至ったのだった。
それが、うずめが言うコミフェスというやつだった。
コミケよりもぜんぜん小さな規模で気軽に参加できて、コスプレして仲間を見つけるもよし、雑誌の即売だって、後ろに長い列があるわけでもなく、手にとってサークルの人達とちょっとお話もできたりする。
「らしいけど、それでもなんか私ひとりだとちょっと、行きづらくて…」と、うずめはとりあえずの『願いごと』をドール達に告白した。
「行きたいぃぃ、それぇ、楽しそうぅ!」ドール達の全員の声、お風呂場だからエコーがかかる。
開催されているのは明日の土曜、明後日の日曜の二日間のはず。
「明日、さっそくおでかけだ。早起きするよ」
ささらが仕切り始めた。
しめじが挙手して言った。「おやつはどうしますか?」
カティアも挙手して発言する「行く前にコンビニで調達するのがいいと思いまーす」
ささらと小明とマドレーヌが声を揃えて「賛成でーす」と挙手。
そしてドール達、うずめを見る。
五人に見つめられると、うずめも手を挙げなければならない。
「賛成…です」
と言わなければならないこのお風呂場のこの空気。
なんか違う…と、うずめは再び思った。


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