ファンタジスタドール

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アニメ「ファンタジスタドール」脚本家の1人である、じんのひろあき氏による、
ウェブ限定のオリジナルストーリーノベル!毎週更新中!

ファンタジスタドール
お砂糖とスパイスと何か素敵なもので女の子はできている

著:じんのひろあき イラスト:Anmi 
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回

翌日。
快晴。
特急電車で1時間半。
コミフェスが行われている街、うずめは降り立った。
ドール達はまだ鞄の中だ。
会場への道は地図を見なくてもわかった。
買い物を終えたお兄さん達がポスターの束が突っ込まれた大きなキャラの描かれた紙袋を体の左右に下げ、さらにまたキャラの抱き枕を背負って次々と駅へと帰っていく。
その彼らの来る方向をたどれば、そこにコミフェスの会場はあるはずだった。
うずめの携帯にメールが着信。
『そろそろ、外にでても、いー頃でゎ しめじ』
ビルの間、自販機が並ぶ人の目がないところで、うずめはデバイスを取り出した。
「天翔る星の輝きよ。時を越える水晶の煌めきよ。
今こそ無限星霜の摂理にもとづいて、その正しき姿をここに…あらわせ!」

会場となっている市立体育館。
手前の駐車場が解放されていて、コスプレーヤー達の撮影会が行われていた。
「やってるやってる」見つけたカティアが走りだす。
ささらが止めるかと思いきや「待てぇい! カティア、私が一番乗りだ!」と後を追って駆け出した。
小明は無言でゴスっぽいスカートであることをものともせずにダッシュする。
「行きましょう、しめじ!」とマドレーヌもまた、しめじの手を引いて走り出した。
うずめもそうなるとついて走らなければならない。
走るのは、うずめはそんなに得意じゃないのだが、そんなことはこの際、言ってられないのだ。
ポーズを決めるスマホゲームのキャラクター、甲冑の騎士のコスプレの女子。
それは青いドラゴンを巡る冒険モノ。
灰色の西洋の幅広い剣と盾、鎧はもちろん、背には何でどうやって作ったのか、わからないトンボの羽根のようなものが八枚、宙に飛び出している。
とりまくカメラのお兄さん達の間を抜けて、うずめ達は進んだ。
体育館の入り口。
『コミフェス受付こちら』と書かれているテーブルに座る赤と青のお揃いのチャイナドレス、頭にお団子のお二人にあらかじめ携帯にダウンロードしてあった入場許可の紋章をかざしてみせる。
「お待ちしておりました、コミフェスにようこそ、どうぞ中へお進み下さい」
青いチャイナ姉さんが指し示したドアの前に立つのは執事のお兄さん。
十センチくらい底上げされたブーツに燕尾服、長髪青白ウイッグで「さあ、コミフェスへ」と、うずめ達をエスコートしてくれる。
うずめは執事コスの男子に手をとられるなんてされたことがないもんだから「え、あ、はい」ととまどって、必要以上におたおたしてしまう だが、ささら達は「失礼しまーす!」「こんにちは!」と、屈託なく体育館の中へと入っていく。
「あ、ま、待って!」後に続くうずめ。
青と赤のチャイナ姉さんの受付、執事に案内いう、どういう世界観でこのお祭りが成り立っているのか、よくわからなかったが、会場となっている体育館は…
さらにわからない!!!
ごっちゃごちゃだった。
天井近くまで無数の高く宙に浮かぶ様々なキャラクターのバルーンの数々。
自分達で作った雑誌をただ並べて売る地味な即売会をイメージしていた、うずめはあっけにとられた。
な、なんだこれは!
壁際にずらっと並ぶまるで企業が出店しているかのようなブースが並び、至る所に大きな液晶モニター、空中にプロジェクターで自主製作アニメが投影されている。
ゆらゆらと揺れて立つ巨大なバルーンのキャラ。
見たことのないボカロのキャラが歌うアップテンポの民謡が流れていて…
どれからなにを見ようか? と、立ち止まってしまっている、うずめの手をカティアが引っ張る「マスター、なにしてんの? こっちこっち!」そうして、ファンタジスタドールに手を引かれ、うずめは憧れのコミフェスの人混みの中へ…

つづく。


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