ファンタジスタドール

Special

◆PV ◆ラジオ ◆インタビュー ◆ノベル ◆サウンドドラマ ◆キャラクターボイス ◆レポート

アニメ「ファンタジスタドール」脚本家の1人である、じんのひろあき氏による、
ウェブ限定のオリジナルストーリーノベル!毎週更新中!

ファンタジスタドール
お砂糖とスパイスと何か素敵なもので女の子はできている

著:じんのひろあき イラスト:Anmi 
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回

そしてまた、うずめ達は息を潜めてお風呂場から部屋へと戻る。
ドール達が現実空間で実体化していない時を過ごしている場所、それがマニホールド空間。
だが、今日はみんなそこに戻らず、うずめの部屋で全員が雑魚寝することになった。
もちろん、この部屋の主である、うずめがこれに賛成したわけではなかった。五人が寝るには狭すぎる。
だが、多数決ということになり、五対一という結果でこうなってしまったのだった。
しかも、だ。
さっきお風呂場では浴槽からはみ出してしまったが、今度はうずめは部屋のど真ん中、カティアとしめじに左右を頭の上に小明を占領されている。
「さあ、電気消すよ、おやすみー」ささらはマドレーヌと並んでベッドへと潜り込むと、あとの三人も「おやすみー」「おやすみなさい」「おやすみ」それっきり、あれだけ騒がしかった五人はいきなり静かになったのだった。
中央に寝ているのになぜか一番窮屈なポジションのうずめ。
身動きとれない部屋の真ん中。
それでも、うずめは小さな豆電球明かりを枕元に引き寄せて、今日、公園で習ったことを復習しはじめた。
ファンタジスタドールであるみんなを呼び出す方法はなんとなくわかった。
なんとなく、って言っていると、ささらが「もう完璧っていう言葉しか聞きたくない」って言うかもしれない。
「まあ、まあ、初めてなんですから」とマドレーヌはかばってくれるかもしれないけど、とも思う。
出会ってまだ一日。正確にいうと半日の彼女達、ドールだったが、今、こうしてあれこれ思い出したり、これからの事を想像したりしていると、不思議とみんなの声が、うずめの耳にリアルに響いてくる。
いつの間にか、うずめの胸の中にもう五人がしっかりと居る。
そんな感じだった。
うずめは手の中のカードを繰ってみる。
「トラップカードってのがわかんないな」
組み合わせて使うもの、らしいが、カードに書かれているワードがあまりにも断片的すぎて、それはいったいなにに使うものなのか、想像もつかない。
『ホッチキス』っていうカードはいったいなんなんだろう? 武器? 防具? まさか衣装? 『ホッチキス』って、ホッチキスでしょ、武器とか防具っていうよりも、文房具じゃないの? これで戦うのかなあ? あとは、『忘れな草』? 『コルク』?なんだ?『千日手』?『角砂糖』?『懐中電灯』?『ペットボトル』?『トウモロコシ畑』?『ゼンマイ仕掛け』?…
組み合わせれば思わぬ効果があるんだから。と、これもまた夕方、公園で小明が言ったことだ。
こちらの攻撃力を倍増させるカード、相手を一時的に眠らせるカードってのもあるらしいんだけど『ホッチキス』ってのはそのどれでもないんじゃないか、って気がする。
例として小明があげたのは『お豆腐』と『一円玉』のカードだった。
『お豆腐』と『一円玉』を組み合わせると、いったい何が起きるっていうんだ?
うずめの???だらけの表情を見てマドレーヌが助け船を出す。「いいですか、マスター、一円玉はこれ以上、細かく崩すことができないですよね」
「はい、一円玉は両替できません」
「それをお豆腐と組み合わせると、お豆腐でありながら、これ以上は絶対に崩れないという武器ができます」
「え? ええ?」
それは武器として使えるもんなんでしょうか?
「相手を傷つけないように攻撃する、立派な武器となる」小明が言い切った。
お豆腐で戦うというのが、うずめにははっきり言ってピンとこない。
「こんな大喜利の答えみたいな考え方、私にできるのかな…」
ドール達のすぅぅ…すぅぅ…という寝息の音に囲まれて、うずめはそんなことを悶々と考えているうちに…いつしか眠りに落ちた。


1 2 3 4
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回

News >>
World >>
Staff & Cast >>
Goods >>
Special >>
Media mix >>

▲ Page Top

(C) 2013 ファンタジスタドールプロジェクト/FD製作委員会