ファンタジスタドール

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アニメ「ファンタジスタドール」脚本家の1人である、じんのひろあき氏による、
ウェブ限定のオリジナルストーリーノベル!毎週更新中!

ファンタジスタドール
お砂糖とスパイスと何か素敵なもので女の子はできている

著:じんのひろあき イラスト:Anmi 
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回

似顔絵を描いてもらう列は徐々に進み、ようやく、うずめの番がやってきた。
小さな椅子に腰掛けてこちらを見上げた白玉ぜんざい先生。
三つ編みでそばかす、髪が赤くてまるで画を描く赤毛のアンという感じの女の子だ。
「あ、あの初めまして」うずめが笑顔を作って先に挨拶する。
「こんにちわ」白玉先生も微笑みを返してくれた。
絵師の赤毛のアンの側にピンクのツインテの女の子がいて、うずめに「そこに座って楽にしてくださいね」と、あれこれ世話してくれる。
うずめから話しかけてみた。勇気を振り絞って、だ。
「今、先生のマンガ、拝見しました」
「どうもありがとうございます」
うずめも元々、人見知りではあったが、どうやらこの赤毛のアン風の白玉ぜんざい猫さんも、コミフェスの片隅でいろんな人の似顔絵を描いたりはしているけど、やっぱり同じような人見知りであるように思えた。
なんとなくそういうオーラというか、波というかを発しているなあと、うずめには感じられた。
「あの…同じ年なんですよ、私、白玉先生と」
「え、本当に?」
「ええ、本当です」
「へぇ、そうなんだぁ」それまではよそよそしい雰囲気だった白玉ぜんざい猫先生が急に学校の教室の隣の席に座っているクラスメートのような口調に急変した「私、本名は鮎原ヨモギっていうんだ」おそらくこの会場に居る人が誰も知らないであろう、ここだけの秘密を教えてくれたのだった。
「私は…鵜野うずめです。似顔絵の方、なにとぞよろしくお願いいたします」
ヨモギの口調がフレンドリーになっているのに、うずめはまだまだ距離がつかめないらしく硬い感じのままの自己紹介だった。
「うずめちゃん…か、よろしくね、では精一杯、描かせていただきますよ」
タブレットにペンタブを突き立てると、さらさらと動かしていき、それが彼女の横にあるモニターに映し出される。
ざっくりとした線であたりをとることもせず、うずめの髪の毛、二つの目、瞳、鼻、眉と、どんどん描いていく。
(は、早い…)
そして、時々、目を上げてうずめの顔をじっとみる。
そこでしばし、うずめと目が合うことになる。
ヨモギは「そんなに睨まなくてもいいよ、楽にして、笑顔でいて」と微笑む。
そう言われて、うずめは初めて自分の顔が緊張してこわばっていることに気付いた。
似顔絵を描いてもらっている間、どんな顔で待っていればいいんだろう?
なにしろ初めての体験なのでうずめは見当もつかない。うずめが緊張したところで確かになにがどうなるってわけでもないのはわかっているのだけど、なにをしていいのかわからないでいると、それはすなわち、どーしてればいーんだろーという緊張の面持ちになり「そんなに睨まなくてもいいですよ」と言われてしまう顔になってしまうのだ。
なにより、うずめをモデルとして見るヨモギちゃんの目の方がそれこそ真剣で鋭くて、そんな目で、しかも間近で見詰められてしまうと、どうしたって緊張して「怖い顔」になってしまう。


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