ファンタジスタドール

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アニメ「ファンタジスタドール」脚本家の1人である、じんのひろあき氏による、
ウェブ限定のオリジナルストーリーノベル!毎週更新中!

ファンタジスタドール
お砂糖とスパイスと何か素敵なもので女の子はできている

著:じんのひろあき イラスト:Anmi 
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回

ドスドスドス…というこれまでの歩みのリズムとは違う、ドドドドド…という音を立て、グオは急に駆け出した。
当然、その尻尾に巻き付けられたワイヤー、遙か上空、それまでぼんやりと浮かんでいた巨大なシュウマイ型のアドバルーンが勢いよく引きずられ、高度がいきなり下がっていく。
「わああああああぁぁ」しがみついている、うずめ達からまたしても、悲鳴があがる。
ドドドドド…
グオがダッシュ。
引っ張られた宙のシュウマイはあまりの勢いに地面スレスレまで降下していく。
うずめが悲鳴の間から携帯に向かって、しめじに向かって言った「ちょ! ちょ! ちょ! しめじ! しめじー! なにをグオに頼んだの? なんなのぉぉ!」
「きゃはははははははははは…」
いつの間にかしめじはグオの腕の中にいた。
そこで、しめじは笑い転げていた。
「ぎゃははははは…」
勢いよく走るグオにまるで引きずられるようになっているシュウマイ。時折地面をバルーンの一部が擦るほど…
その上にしがみつき振り落とされまいと必死の、うずめ達。
最初は「うひゃあああ!」と、悲鳴に近い声を上げてはいたが、すぐにそれに慣れてしまうと、先を行くグオの腕の中の、しめじと同じように、うずめも、ささら達もみな「きゃははは…」と笑い声をいつしか上げていた。
ドドドドドドドドド!
「きゃはははははははははは!」
ドドドドドドドドド!
「きゃははははははははは!」
うずめは今一度、しめじに聞く「なにを『して欲しい』って頼んだのぉ?」
笑いながら、しめじが答える「走って、って」
「走って?」ささらが聞き返す。
「そう! 走ってって、風がね、びゅーって吹くくらいに早く走ってくれる? って、ははははは…グオ、どこまで早く走れる? って。ははははは…」
ドドドドドドドドド!
グオは友達、しめじのお願い通りにMAXのスピードで駆け出したのだった。
恐竜はグオオオと唸り、女の子達の笑い声がふりまかれ、シュウマイが通り過ぎていくのを、道行く人は「何事か?」と、ただただ呆然と見送るだけだった。

そして…

うずめが手にしている携帯から聞こえていた、しめじの笑い声が不意に途切れた。
そして、その代わりに、しめじの緊迫した声が聞こえた「あ! グオ! どうしたの、グオ?」
「しめじ、どうしたの、しめじ!」うずめが携帯に向かって聞いた。
「グオの目が…」しめじは手にした携帯のカメラをグオの顔へと向けた。
こちらを覗き込むグオの目。
真っ赤だ!
心なしかグオが発する唸り声も弱々しく、痛々しい気がする。
グオが唸り声混じりにつぶやいた。

「充電…しないと…電気を…探さないと…しめじ…電池がなくなってきたよ…」

つづく。


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