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「ほんの少し、お時間をいただければ、新進気鋭の絵師でマンガ家である白玉ぜんざい猫先生が似顔絵を、なんと、なんと無料で描いてさしあげまーす!」
「描き上がったイラストはデータでもお渡しできますので、Twitterのアイコンなんかにご利用いただけますぅ!」
長蛇、とまではいかないまでも、似顔絵を描いてもらう列はけっこう人が並んでいた。ドール達が確保しておいてくれた整理券のおかげで、最後尾より前に割り込ませてもらえたが、それでも、白玉ぜんざい猫先生の前に辿り着くのは、まだまだ時間がかかりそうだった。
おとなしく待つか、と思った時、ウイッグだろうか、長い黒のツインテの女の子が列の前からこっちへと抱えたマンガを配りながらやってきた「こんにちは! これ、白玉ぜんざい猫先生のデビュー作が載っている別冊レインボーです、お待ちになっている間に、いかがでしょうか?」
「あ、ありがとうございます」うずめは渡された雑誌の表紙を見た。
白玉ぜんざい猫、読み切りデビュー作。
四十八ページ一挙掲載!
『飛ぶには小さすぎる背中の羽根について…』。
「おもしろいですよー、よかったら後で白玉先生に感想をお願いします」
これを私と同じ年の中学生の女の子が描いたんだ。
いったい、どんな子なんだろうと、列の先頭に居るであろう、白玉ぜんざい猫さんの姿をひと目、見ようと右から左から、つま先立ったりしてみて覗いてはみるものの、彼女は低い椅子に腰掛け、膝の上に大きなタブレットを広げて、側にあるモニターを見ながらペンタブをしゃっしゃか動かしているのでよく見えない。
でもまあ、順番がくれば、きっとね…と、うずめはそれまでの間、さっきの黒のツインテの女の子が手渡してくれた別冊レインボーのマンガを読んで待つことにした。
そこにさらに銀髪のツインテの女の子がやってきた「もう少々お待ちください、いちごポッキーはいかがですか? お一人様三本までサービスいたしておりますぅ!」
ぽりぽりぽりぽりぽり…
しゃがみ込んで、無料サービスのいちごポッキーを、リスがクルミの実の中身を食べるように、ぽりぽりしながら、うずめはマンガを読み始めた。
それは…
こんなマンガだった。